シロアリの見分け方。形態・種類・特徴・大きさ・生体を徹底解説
Contents
シロアリって蟻じゃなくてゴキブリの仲間?!白蟻ってどんな生物?
名前を知らない人はほとんどいない「シロアリ」。
あなたの家を危険にさらす存在として、恐れている方も多いはず。
しかし、なかなか人目につくことない存在でもあるため、シロアリについて詳しく知っている方も
少ないのではないでしょうか?
そこで今回は、あなたの知ってるようで知らない「シロアリ」についてお話しいたします!
シロアリは蟻じゃない!日本で家屋に被害を与える主なシロアリの種類
シロアリは昆虫網ゴキブリ目シロアリ科に分類される昆虫です。
自然界においてはセルロース(植物細胞および繊維の主成分)の分解に関わる重要な働きを持っています。
シロアリの種類はわかっているものだけでも世界中に2,000種類以上といわれています。
そのうち日本には約13種類のシロアリがいます。
シロアリは木材に被害をもたらします。そのため、木造住宅に暮らす私たちにとって大敵です。
シロアリが棲みついてしまうと、完全に駆除するまでその被害は広がります。
その結果、耐久性に問題がでたり、家の建て直しが必要になってくる場合もあります。
ただ、シロアリは人目のつかないところに生息している生物であるため、
その種類について詳しい方は少ないのではないでしょうか。
家屋に被害をもたらすとされているシロアリは以下の4種類です。
シロアリの種類と分布・生息地域を解説
土壌性シロアリ(地下シロアリ)
種類
- ヤマトシロアリ:北海道北部を除く、ほぼ全国に生息
- イエシロアリ :千葉県以西の温暖な沿岸地域を中心に生息
特徴
土壌から働きありが侵入
土壌性シロアリは、土中から蟻道(ぎどう:シロアリが通るトンネル)を伸ばして水を運び、木材を主に加害します。
防蟻対策:土壌、GL1m以内木部(建基法)
- もっとも一般的な「シロアリ」
- 土壌に依存して、水分や湿気を上げる
- 床下などに蟻道を作って侵入
- 大家族(数万〜数百万)で食害
- 通風では防げない
- 水分(湿気)が必要
乾材シロアリ
種類
- アメリカカンザイシロアリ:全国に点在
- ダイコクシロアリ:奄美大島以南の南西諸島と小笠原諸島に生息
特徴
木部、換気口、窓などから羽アリが侵入
乾材シロアリは、乾燥した木材に含まれるわずかな水分で生きられるシロアリです。
主に海外から飛来したと言われており、輸入木材・家具から直接飛び渡って加害します。
屋根裏などに発生することもあり、日本ではシロアリは床下と思い込みがちで見落としがちになり、発見が遅れることも多いようです。
防蟻対策:建物全体 ※駆除は極めて困難 、入れないことが大切
アメリカカンザイシロアリの特徴
- 乾燥材の含水だけでも生きていけるシロアリ
- 土壌にまったく依存しない
- 蟻道を作らないので、発見が困難
- 糞粒が特徴的
- 巣をたくさんつくる
- 小屋裏の被害が多い
違うのは色だけじゃない!シロアリとクロアリ!
シロアリとよく見間違えられる生物、「クロアリ」
シロアリ駆除の依頼を受けて現場を確認すると、そこにいたのはクロアリだった!なんてこともよくあるようです。
名称だけでなく、見た目、群れをつくって生活する社会性昆虫であることなど、共通点が多く、混同してしまいがちですよね。
でも、シロアリとクロアリは全く違う生物なのです。
分類学上でいうと、シロアリは「ゴキブリ目シロアリ科」、クロアリは「ハチ目ススメバチ上科アリ科」に区別されます。
またシロアリは幼虫と成虫でほとんど変化のない「不完全変態」、クロアリは幼虫から蛹を経て成虫になる「完全変態」です。
似ている見た目も、よくよく観察してみるとその違いを見つけることができます。
シロアリと黒アリの違い(大きさ・生体・発生時期・派生場所)
種類 | シロアリ | 黒アリ |
羽の大きさ | 前後の羽4枚が同じ大きさ | 後ろの羽が前の羽より大きい |
胴体 | 寸胴 | 腹部にくびれ |
触覚 | 真っすぐ、数珠状 | くの字状 |
発生期 | ヤマトシロアリ 4月〜5月 イエシロアリ 6月〜7月 |
6月〜11月 |
活動場所 | 床下など湿気が多く、人目につきにくい場所 | 庭先などの人目につく場所 |
クロアリを屋外で見かけることは特に問題ありません。むしろ自然なことと言っていいでしょう。
クロアリが直接、家屋にダメージを与えることはないので、安心していただいて大丈夫です。
しかし、玄関・風呂・台所・トイレなど家の中で見かけた場合は楽観視できません。
なぜならば、シロアリはクロアリの栄養となるため、近くにシロアリが生息している可能性があるからです。
「家の中(特に水回り)でクロアリを見かけたら、シロアリのサイン?!」
ぜひ覚えておいてくださいね。
徹底比較!特に要注意なシロアリの種類と大きさ・特徴!
先ほど、家屋に被害をもたらすシロアリを4種類ご紹介しました。
その中でも、私たちにとってより身近なのが、「ヤマトシロアリ」と「イエシロアリ」です。
特に、イエシロアリは加害が激しく、木造ばかりでなく、コンクリート造の建築物、立木に対しても被害を及ぼします。
ヤマトシロアリ
4月〜5月にかけて、日中(特に雨上がりの蒸し暑い昼間)に巣から羽アリが飛び出します。
- 好む土質 : 粘土分の多い植質土
- 1巣内の頭数 : 1万匹〜5万匹
- 被害部分 : 水回り中心
- 羽アリ体長 : 4.5〜7.5
イエシロアリ
6月〜7月の蒸し暑い日の夕方から夜間に巣から多く羽アリが飛び出します。
- 好む土質 : 砂質土壌
- 1巣内の頭数 : 10万匹〜50万匹
- 被害部分 : 地上から屋根裏まで
- 羽アリ体長 : 6.5〜8.5
どうなってる?シロアリの巣の構造!
ヤマトシロアリとイエシロアリの違いは、巣の構造にも見られます。
ヤマトシロアリは、数千匹から数万匹の比較的小さな巣(コロニー)を作ります。家屋の被害部分が巣となっているこが多いのが特徴です。
イエシロアリの巣はさらに規模が大きく、土の中に塊となった本巣と呼ばれる巣を作ります。
本巣から蟻道を伸ばして、道の途中でも枝分かれのようになった分巣をつくります。
本巣は大きいものでは1m以上になり、分巣をつくるために辿る蟻道が家屋の被害部分となります。
イエシロアリの巣は、分巣を含めて、最大半径100mになるものもあります。
分巣だけを駆除しても、大元の本巣を駆除しなければ完璧な駆除とは言えません。
なぜならば、残った本巣から再び小さな分巣を作り、またその規模を広げていくからです。
このように、イエシロアリの加害が激しいのは巣の構造からもよくわかります。
どちらにせよ、シロアリ駆除は巣そのものの駆除が前提となります。
家屋への被害が大きければ大きいほど、そのすべてを見つけ出すことは素人には困難になります。
そのため、専門家に相談・診断していただくことをおすすめします。
よく似ているシロアリも、細かくみていくとそれぞれに特徴がありますね。
その違いをよく知っていることは、早期発見や的確な対応につながっていきます。
少しでも不安を感じているのであれば、一度しっかりチェックすることが大切ですね。
住まいの天敵!シロアリの発生原因と対策が知りたい!
自然界の中では「森の分解者」と呼ばれているシロアリ。
その役割の大きさは、シロアリが全滅してしまったら生態系のピラミッドが崩れてしまうかもしれない、と言われるほどです。
しかし、私たちにとってシロアリは、大切な家の柱や土台を餌とする「天敵」とも言える存在です。
さらに困ったことに、シロアリ被害は発見が難しいのです。
そのため、気がついた時にはすでに大惨事なんてことも珍しくありません。
大切な家を守るために欠かせないシロアリ対策。
発生原因を知り、シロアリを寄せ付けない家造りをしていくことが大切です。
そこで今回は、シロアリの発生原因とその対策についてご紹介いたします。
シロアリの好きな場所は?!日当たりと湿気がポイント!
シロアリが生息地を選ぶポイントは2つあります。
「棲みやすい環境であること」「好きな餌があること」です。
まず、シロアリが棲みやすい環境には、「湿気が多い」「比較的暖かい」「日当たりが悪い」「風通しが悪い」などの特徴があります。
そして、シロアリの好きな餌といえば、やはり木材です。
それ以外にも、ダンボール・コンクリート・発泡スチロール・プラスチックなどの人工物も餌とします。
特に、水分を多く含んだ木材やダンボールは大好物と言えます。
これらの条件が重なる場所、それが「シロアリの好む場所」となり、その場所を拠点に食害が広がっていきます。
家の中では、お風呂・洗面所・トイレ・台所など水回りでシロアリ被害が発生しやすいと言われています。
特に、これらの場所の床下、土台、柱などは注意が必要です。
その中でも、どこのご家庭でもほぼ毎日使用する浴室は、タイルの亀裂やサッシとの隙間などから水が染み出してきているケースが多く見られます。
水漏れやその暖かさなどから被害が最も多い場所となっています。
また現在の住宅の多くは、浴室タイルの下は土や石などが詰まっている造りになっているため、木材の腐れに気づきにくく、被害の発見が遅れがちです。
こういったことから、浴室や洗面所は、水で濡れた状態のままにするのは危険です。
使用後の拭き取り掃除、換気扇をまわすなど、普段から湿気をためないように気をつけましょう。
外壁のわずかなひびや隙間は、家中の湿気の原因となります。
定期的に点検をし、見つけたらできるだけ早く修繕するようにしましょう。
思わぬ盲点?!庭の木材や廃材にも要注意!
シロアリの発生原因として見落としがちなのが、庭や家屋周辺にある木材です。
放置された廃材などは、雨にさらされ水分をたっぷり含んでおり、シロアリにとっては大好物です。
シロアリの侵入経路の8割が土中から、と言われています。
庭の土の上にさらされた木材は、シロアリが外気に触れずに侵食することができ、絶好の餌場となってしまいます。
さらには、その木材から家屋のほうへ侵入する可能性もあります。
そのため、家屋の周辺に廃材を放置するのは、出来る限り控えましょう。
万が一、すでに放置している木材があれば、すぐに処分することをおすすめします。
その他にも、ウッドデッキやガーデニング用の木材にも注意しましょう。
こちらは廃材のように、処分するわけにもいきません。
なるべく木材を乾燥させるようにする、防腐剤や防蟻剤を散布するなどの予防が必要です。
シロアリ被害は、ご近所トラブルの原因になることもあります。
何か起こった時に、放置されたままの廃材や無防備なままのウッドデッキなどは目につきやすいものです。
いらぬトラブルを生まぬように行動するのも、ご近所への思いやりのひとつではないでしょうか。
お隣の家は築何年?!周辺環境も関係する??
シロアリの発生原因として、周辺環境も無視することはできません。
というのも、築年数が古い家屋が多いエリアでは、シロアリなどの害虫発生率が高くなる傾向があるからです。
新築の場合は施工時に、柱などの木材や梁、基礎のまわりに防蟻対策が施されています。
しかし、その効果の保証期間は「5年」が一般的です。
そのため、新築から5年を過ぎたら何かしらの対策をとる必要がある、というのが原則ではあります。
しかしながら、それは居住者の自由意志によるため、外から見てシロアリ対策がされているかというのは分からないものです。
そういった周辺環境にもしっかり目を向けながら、予防・対策をしていくこと。
これがシロアリ対策では重要なポイントなのです。
被害に遭わない、広げないために、まずはあなたの家からしっかり対策をしていきましょう。
また、中古物件の購入を検討されている方は、可能であれば、屋根裏や床下のチェックも行いましょう。
蟻道など、シロアリ被害の形跡がないかきちんと調べておくと安心です。
外観のきれいさだけで、家の良し悪しは判断できないものなのです。
シロアリ被害から家を守るために、まずはシロアリの好む環境を作らないことが大切です。
基礎を高くして床下の風通しを良くすること、湿気の原因となるひび割れ・隙間を修繕することなど、出来ることはたくさんあります。
また、カビ・結露・雨漏りなども湿気の原因となるので、注意が必要です。
それら見つけたらシロアリ被害に遭っているかもしれません。
心配なことがあれば、専門業者に依頼し、きちんと点検してもらいましょう。
シロアリってどんな生物?
「知ってるけど知らない?!シロアリってどんな生物?」でシロアリについてお話ししました。
ひとまとめに呼んでいた「シロアリ」にも、種類と特徴があることを理解していただけたかと思います。
シロアリ被害はなかなか気づきにくいもの。
気付いた時には大惨事!といったことも多いのが現実です。
そこで今回は、シロアリ被害に遭わないため、そしてシロアリ被害を早期発見していただくために、さらに知っておいていただきたいことをお伝えします。
シロアリ被害に遭わないために!すぐできる対策は?
シロアリ被害に遭わないためには、どのようなことに注意したらいいのでしょうか?
最も確実なのが、「シロアリを棲みつかせない」「家に近づけない」ことですよね。
そうすれば、シロアリの被害を心配する必要も、怯える必要もありません。
我が家がシロアリの生息地にならないために、今すぐできる対策方法をご紹介いたします。
家に湿気を溜めない
シロアリは湿気の多い環境を好んで棲みつく習性があります。そのため、家に湿気を溜めないことが
シロアリ対策の基本中の基本です。
例えば、掃除をする時には全ての窓を開けて風通しを良くすると良いでしょう。
家の周囲にある木材を処分する
家の周囲や庭に不要な木材を放置していませんか?もしあるとしたら、すぐに処分しましょう。
なぜならば、その木材がシロアリの温床となり、巣を作る危険があるからです。
特に、雨が続いた後の木材は、湿気を多く含んでいるため、シロアリにとって絶好の餌になります。
シロアリとキクイムシの違いを写真画像付きで徹底比較
「あれ?!これはもしかして…シロアリ?!」
あってほしくないことですが、もしそんな場面に出会ったとしたら、その箇所をまずはよく観察してみてください。
なぜならば、ついついシロアリと間違えてしまう、他の害虫による被害の可能性もあるからです。
代表的なものに、「キクイムシ」による被害があります。
キクイムシもシロアリ同様、家屋の木材に加害する昆虫です。
ラワン材・ナラ材につきやすいと言われているキクイムシ。
天井や柱などの屋内の木の部分、戸棚の中にポツポツと穴があいていたり、木の粉が落ちていたりする場合は、キクイムシの仕業かもしれません。
キクイムシは、木材の導管に産卵し、幼虫の時に木材を餌とします。
蛹から成虫になったキクイムシが木の表面に穴をあけて飛び出していきます。
穴のサイズは非常に小さいもので、だいたい1㎜前後です。
木の粉は、穴をあける時にこぼれるもの。
被害が大きい場合は、床に山盛りになることもあるそうです。
キクイムシもシロアリと同じように、人目につくことは少なく、小さな穴、木の粉によって、私たちはその被害に気が付くことがほとんどです。
最もよく見られるキクイムシは、ヒラタキクイムシですが、
成虫になる時期が、4月〜8月頃ですので、シロアリ発生時期とも重なるため、ますます見間違えやすいのです。
シロアリとキクイムシでは対処法も異なりますので、注意が必要ですね。
羽アリって何?羽アリが飛び出す原因と時期
私たちにシロアリ被害の可能性を示してくれるサインとして、「羽アリ(ハネアリ)」の存在が挙げられます。
ハネアリとは、その名前の通り、「羽のある蟻」のことですが、
他のアリとどのように違うのでしょうか?
アリの社会は、完全な役割分担で成り立っています。
その中で、ハネアリの役割はパートナーを作り繁殖すること。
つまり、ハネアリは、新しい巣の女王アリになるべく生まれ育った巣から飛び出してきたアリなのです。
ハネアリが巣を飛び出すのは、シロアリの巣の規模がある程度成熟したからです。
もし、あなたが家の中でハネアリを見たとすれば、それは数年前からシロアリが生息していた証拠です。
誰にも気付かれず、シロアリたちはあなたの家を餌に繁殖していたということになります。
種類別!羽アリ・ハネアリの発生時期、特徴!
ハネアリは1年中、いつでも発生するというわけではありません。
種類によってある決まった時期に、私たちの前に姿を現します。
まず、私たちの家屋を危険にさらすシロアリには、代表的なものとして2種類あります。
「ヤマトシロアリ」と「イエシロアリ」です。
ヤマトシロアリの発生時期と特徴
- 発生時期:4月〜5月
- 特徴 :日中(特に雨上がりの蒸し暑い時間帯)に巣から飛び出す
イエシロアリの発生時期と特徴
- 発生時期:6月〜7月
- 特徴 :夕方〜夜間にかけて巣から飛び出す
また、ハネアリにも、シロアリ・クロアリの区別があります。
先ほどお伝えしたように、シロアリの場合はあなたの家の危険サインとなりますが、
クロアリの場合は、特に心配する必要がありません。
シロアリ、クロアリの区別も、発生時期によって判断することができます。
クロアリの発生時期と特徴
- 発生時期:6月〜11月
- 特徴 :主に夜間に巣から飛び出す
シロアリ対策のポイントは、日頃から湿気を溜めずに空気の通りを良くすること。
そして、シロアリ被害の可能性を見つけたら、焦らず的確な判断を心がけることです。
シロアリからあなたの家を守ることは、家族を守ること。
事前の対策と、きちんとした知識を持っておくことが大切ですね。
屋根裏にシロアリ!?空を飛ぶ外来種アメリカカンザイシロアリの恐怖
日本で家屋に被害を及ぼすシロアリといえば、ヤマトシロアリとイエシロアリが一般的でしたが、近年ではアメリカカンザイシロアリの被害が増えて問題になっています。
アメリカカンザイシロアリはその生態や特徴が他のシロアリと全く異なるため、発見が遅れて被害が大きくなってしまうというケースも見られます。
そこで今回は、アメリカカンザイシロアリの生態や特徴、侵入経路から対策まで詳しくお伝えいたします。
アメリカカンザイシロアリとは?生態・特徴・繁殖速度について
アメリカカンザイシロアリとはアメリカの西海岸地方に広く分布しているシロアリで、輸入家具や木材などについて日本に持ち込まれたと言われています。
日本では1976年に東京で初めて発見されました。
アメリカカンザイシロアリの特徴
アメリカカンザイシロアリの大きな特徴として、非土壌性である点があげられます。
日本で代表的なシロアリであるヤマトシロアリとイエシロアリは土壌性で、土の中に巣を作り、じめじめした湿気の多い場所を好みます。
しかし、アメリカカンザイシロアリは「カンザイ(乾材)」という名前の通り、乾いた木材の中で生息するシロアリで、土中で生息することはありません。
水分がないと生きていけない他のシロアリに比べて、アメリカカンザイシロアリは木材に含まれているほんのわずかな水分だけで生き延びることができるのです。
アメリカカンザイシロアリが加害するのは、木材の他に木製家具、ピアノ、木製品などです。
乾材だけでなく湿った木材や腐った木材まで、どんな状態の木材でも食害するため、天井裏から床下まで家中のあらゆる場所で被害を及ぼす恐れがあるのです。
このシロアリは特定の巣を作らず、木材の内部を食べながら細長いトンネルを作って移動します。
アメリカカンザイシロアリの形状
【兵アリ】体長は9〜11ミリ。
イエシロアリやヤマトシロアリの2倍と大きい。
頭は円筒形で体の3分の1の大きさ。
頭は褐色で体は白色。
【羽アリ】体長は6〜8ミリ。
頭部は赤褐色で体は黒褐色。
【職アリ】体長は5〜8ミリでヤマトシロアリやイエシロアリより一回り大きい。
乳白色でずんぐりとしている。
アメリカカンザイシロアリの繁殖速度
アメリカカンザイシロアリは在来種と比べると、繁殖スピードはあまり速くありません。
コロニーの成長を見ても、2年くらい経っても兵アリが1頭に職アリが20頭程度です。
羽アリが発生するのに4〜5年ほどかかると言われています。
アメリカカンザイシロアリの侵入経路と発見法 空洞化で中地震で家屋倒壊の危険!
ヤマトシロアリやイエシロアリは土中からトンネルを作って進み、地上では蟻道や蟻土を形成してその中を移動して侵入します。
それに対してアメリカカンザイシロアリは、飛来するか家具などについて搬入されることによって家屋の中に侵入します。
主な侵入経路が床下となっている在来種と違い、アメリカカンザイシロアリは飛来してきて家屋のあらゆる場所から侵入することができます。
羽アリが飛来する時期は主に6〜11月頃ですが、環境によっては一年中飛来する可能性があります。
暖かい昼間に少数で飛び立ち、雄雌がつがいになって羽を落として木材に穿孔します。
アメリカカンザイシロアリは蟻道や蟻土を作らず、木材の中を食害しながら移動します。
加害箇所がそのままコロニー(巣)を兼ねており、家屋の中に多数のコロニーが点在しています。
外からは何も問題がないように見えるため、シロアリの被害にあっていることに気付きにくく、発見が遅れるケースが多いのです。
また、アメリカカンザイシロアリは他のシロアリが避ける固い年輪部分も関係なく食べ進み、木材の表面を残したまま内部を空洞化させてしまいます。
そのため、建造物の耐震強度が著しく低下する危険性があります。
カリフォルニアではアメリカカンザイシロアリの被害により、地震で家屋が倒壊した例もあるのです。
アメリカカンザイシロアリを発見するための一番のポイントはフンを見つけること
アメリカカンザイシロアリを発見するための一番のポイントは、糞を見つけることです。糞の特徴は黄色から褐色、大きさは1くらいの砂粒状で、拡大して見ると俵型をしており溝が入っています。
アメリカカンザイシロアリは木に穴を開けて、そこから糞を外に排出します。
このような糞を見つけたらその近くにいる可能性が高く、たいていは糞の真上に生息しています。
羽アリが侵入したばかりの時期は、羽や木くずが落ちていて発見できることもあります。
アメリカカンザイシロアリへの対策は?
アメリカカンザイシロアリの駆除方法として、アメリカでもっとも一般的に行われているのが燻蒸処理です。
燻蒸処理というのは、家全体をシートで覆って毒ガスを充満させて害虫を駆除する方法です。
この処理法なら確実にシロアリを駆除することができますが、薬剤が残らないため効果に持続性はありません。
近所にアメリカカンザイシロアリが生息している場合は、燻蒸処理後に飛来してくることもあるのです。
また、日本では家屋が密集しているので、このような毒ガスを使用した燻蒸処理は難しく現実的ではありません。
そのため一般的に行われているのが、食害されている箇所に穴を開け、液状(ムース状)の薬剤を注入する方法です。
この方法では薬剤の残留効果も期待することができます。
アメリカカンザイシロアリ対策として有効な方法として、建築時にホウ酸を使用した木材保存剤を施工する方法があります。
この方法なら床下から屋根裏まで家屋全体をカバーすることができて、長時間効果を発揮します。
駆除よりも予防に努めることで、アメリカカンザイシロアリによる被害から大切な家を守ることができるのです。
アメリカカンザイシロアリは発見しにくいと言われていますが、その性質や見つけるためのポイントを知っていれば早めに発見することも可能です。
放っておくと木の内部を食べ尽くし、耐震強度が低下する危険があるので注意しなければなりません。
羽や木屑、糞などを見つけた場合は、できるだけ早く専門の業者に調査してもらうことが大切です。
もしかしてシロアリ?そんな時の写真でみるシロアリの種類と見分け方!
あなたはシロアリを見たことがありますか? もしシロアリを見かけたら、種類によって対策や駆除の仕方などが違うため、すぐに判別する必要があります。 シロアリは世界中に 2,000 種類以上いると言われており、そのうち日本には約 13 種類が生息しています。 また、シロアリではないよく似ている虫も身近にたくさんいるので、誤って無用な心配をしてしまっては困り ますよね。
そこで、日本に生息する最も被害件数の多いシロアリ 4 種と、シロアリと間違いやすい虫達を写真付きでご紹介 します。
さらに、最も間違われやすいとされるシロアリと黒アリの「羽アリ」の見分け方もご説明します。
シロアリの生体(階級の種類と役割)について
シロアリには同じ種類の中に職蟻 ( しょくぎ ) 、兵蟻(へいぎ)、羽アリ、ニンフ、女王アリ、王アリがいて、 それぞれその役割が違い、見た目も異なります。
今回は主に人目に触れる可能性の高い職蟻 ( しょくぎ ) 、兵蟻(へいぎ)、羽アリのそれぞれの見た目の違いと 特徴を、シロアリの種類別で見ていきましょう。
ヤマトシロアリの生体(階級の種類と役割)について
北海道北部を除く日本全土に生息。羽アリの群飛は 4~5 月の日中に行われ、夜間灯火に 集まる週間はない。コロニーの個体数は 1~3 万ほど。
職蟻 | 体長 3.5 ~ 5.0 mm 乳白色または黄白色。イエシロアリの職蟻と似ていて見分けにくい。 |
兵蟻 | 体長 3.5 ~ 6.0 mm 頭の形は上から見て長方形に見える。頭が体の半分を占める大きさ。 |
羽アリ | 体長 4.5 ~ 7.5 mm 背中の一部と足先は黄色、ほかはすべて黒色をしている。 |
イエシロアリの生体(階級の種類と役割)について
千葉県以西の海岸沿いの温暖な地域と南西諸島、小笠原諸島に生息。
羽アリの群飛は 6~7 月の夕暮れから夜にかけて行われ、灯火に誘引飛来する。コロニーの個体数は 100 万にも 及ぶ。
職蟻 | 体長 3.3~5.2 mm 乳白色または黄白色。ヤマトシロアリの職蟻と似ていて見分けにくい。 |
兵蟻 | 体長 3.8~6.5 mm 卵型の顔で3頭身。指を出すと噛みつき乳白色の分泌物を出す。 |
羽アリ | 体長 6.5 ~ 8.5 mm 全体的に茶褐色をしているのが特徴。 |
アメリカカンザイシロアリの生体(階級の種類と役割)について
宮城~沖縄まで 24 都道府県に点在する。羽アリの群飛は 7~9 月の昼間に行われ、 灯火に飛来しない。コロニーは小さく 2 千~3 千ほどの個体数を持つ。
職蟻 | 体長 5~8 mm 乳白色で円筒状。ヤマトシロアリやイエシロアリと比べ大きくずんぐりしている。 |
兵蟻 | 体長 8~11 mm 頭部は濃褐色で頭部前方は黒色。頭の形は上から見て四角形で、触角付根の一節が特に 太い。 |
羽アリ | 体長 9~10 mm 頭部と前胸が褐色。その他は光沢のある黒色。 |
ダイコクシロアリの生体(階級の種類と役割)について
奄美大島以南、小笠原諸島に生息。群飛は 5~8 月の夜間に何回も行われ、灯火に飛来する。 コロニーは小さく材中に して小集団で加害する。
職蟻 | 体長 5~7 mm ほぼ乳白色または黄白色。 |
兵蟻 | 体長 4~5 mm 頭部がよく発達しておりゲンコツの様な形。黒、濃褐色でそれ意外は乳褐色か黄褐色。 |
羽アリ | 体長 5~7 mm 黄褐色。羽の色は無色と半透明。 |
シロアリと間違えられやすい虫
羽が生えいる小さな虫は家の周りに多数存在し、室内に侵入していることもあります。
「羽が生えているからシロアリかも?」と思い、誤解して駆除業者を呼んでしまうこともあるかもしれません。
余計な心配をしてしまう前に、身近に生息するシロアリと間違えられやすい虫の、見た目と特徴を知っておきま しょう。
もし疑わしい虫を発見したら、写真と見比べてみてください。
トビイロケアリ
働きアリの体長は 2.5 ~ 3.5 mm。全体的に黒褐色。公園などで普通に見られる。羽アリは 7~8 月の早朝に飛行。
キイロシリアゲアリ…
成虫の体長 2.5~5 mm。体色が黄褐色をしているのが特徴的な蟻。羽アリは 8 月後半~9 月に飛行。草地から林縁の 土中に巣を作る。
イエヒメアリ
働き蟻は体長 2~2.5 mm。全体的に淡黄色で腹部後方が淡黒い。人を噛んだり刺したりするので注意が必要。 暖房設備のある建物に棲みつき食害することもある。
クロバネキノコバエ
成虫の体長は 1~6 mm。羽アリの羽は透明または褐色~黒色。農作害虫として知られており、朽木や菌類を 餌にしている。
ユスリカ
成虫は体長 0.5~10 mm。蚊によく似た姿だが、人を刺すことはない。川や池の近くで蚊柱を作る。
タバコシバンムシ
1.7~3.1 mm。濃い飴色~淡いチョコレート色。背面に黄色の微毛がびっしり生えているのが見える。貯蔵食品害虫 として知られている。
シロアリと黒アリの見分け方 シロアリと最も似た性質・外見を持つのは黒アリです。 シロアリも黒アリも、時期になると羽アリ ( 有翅虫 ) となって飛び立ちます。 羽アリが発生した場合はどちらの羽アリかを判別しましょう。 それぞれの羽アリの見た目の違いをご紹介するので、参考にしてみてください。
シロアリ
触覚…数珠状。 羽…前羽と後羽がほぼ同じ大きさ。 胴体…胸部はやや幅が狭いが寸胴。
黒アリ
触覚…くの字型。 羽…前羽の方が後羽よりも大きい。 胴体…腹部の付け根が細く、くびれている。
このように、シロアリはゴキブリの仲間で、黒アリは蜂の仲間あることから外見の特徴に違いが見られます。
黒アリは材木を食べませんので、家自体に悪影響はありません。
しかし油断できないのは、肉食の黒アリにとってシロアリは格好の捕食対象だということです。
シロアリがすでに家の中に生息していて、それを餌にするために黒アリが侵入しているのかもしれません。
家の風呂、トイレ、台所、玄関などに黒アリがいた場合は、駆除業者の無料点検などを利用し、しっかりと 確認してください。
ポイントは体の大きさ!シロアリと女王アリの見分け方!
おそらくシロアリを知らない人はいないと思います。しかし、実際にシロアリを見たことがない人がほとんではないでしょうか。
シロアリにも種類があり、体の大きさも違います。また、シロアリは女王アリと王アリを頂点とした階級社会で生活しています。
そういったシロアリの生態や特徴を知ることが、シロアリ駆除のポイントです。
そこで今回は、知ってそうで知らなかった、シロアリの生態についてご紹介いたします。
数の多さは世界一?!シロアリが自然界を支えている!!
シロアリは木を主食とする昆虫ですが、木の表面に出てこないため、普段目にすることはありません。
しかし、実は地球上で最も数の多い昆虫と言われています。
また、シロアリは木の幹に豊富に含まれる「セルロース」を栄養とする数少ない生物でもあります。
枯れて弱っている木や倒木を食べることで、木の分解を助け土に還すため、自然界では「森の分解者」と呼ばれています。
さらに、木を食べるシロアリは黒アリに食べられます。
そのため、植物性タンパク質を動物性タンパク質に変えることになり、自然界の食物連鎖においても重要な昆虫とされています。
「もしもシロアリが世界からいなくなったら、生態系のピラミッドが崩れてしまうかもしれない……」そう言われるほど、シロアリは自然界に必要な存在なのです。
そんなシロアリの種類は、なんと2,000種類以上。そのうち日本に生息しているのは、10〜20種前後と言われています。
その中で、私たちの家屋に被害をもたらすのは4種類です。
- 土壌性シロアリ・ヤマトシロアリ・イエシロアリ
- 乾材シロアリ・アメリカカンザイシロアリ・ダイコクシロアリ
土壌性シロアリは、水分が多いところでないと生きられないため、土の中に生息しています。
土の中から蟻道を伸ばして家屋に侵入し、木材に加害します。
乾材シロアリは、乾燥した木材に含まれるわずかな水分でも生きていけます。
主に海外から飛来したと言われており、輸入木材・家具から直接飛び渡って家屋に侵入します。
このように、土壌性シロアリと乾材シロアリは侵入経路が異なります。
そのため、同じ措置では防ぐことができませんし、駆除方法も違ってきます。
注意すべきはヤマトシロアリとイエシロアリ!それぞれの違いは?!
被害数の多さから比較すると、私たちにとってより身近であるシロアリは、ヤマトシロアリとイエシロアリです。
シロアリ駆除は種類によって、駆除方法も異なります。そのため被害を見つけた際に、シロアリの種類を正確に見分けることが重要です。
そこで、ヤマトシロアリ、イエシロアリの特徴をみてみましょう。
ヤマトシロアリ
北海道北部を覗く、ほぼ全国に生息
4月〜5月にかけての日中(特に雨上がりの蒸し暑い昼間)に群飛する
1巣内の頭数は1万〜5万
職蟻(働きアリ):体長3.5〜5.0
兵蟻(兵隊アリ):体長3.5〜6.0
イエシロアリ
寒さに弱く、関東以西の南部に生息
6月〜7月の夕方から夜間に群飛する
1巣内の頭数は10万〜50万
職蟻(働きアリ):体長3.5〜5.2
兵蟻(兵隊アリ):体長3.8〜6.5
兵蟻(兵隊アリ)は巣を外敵から守る役割を担っているシロアリですが、ヤマトシロアリとイエシロアリは、兵蟻(兵隊アリ)で見分けることができます。
ヤマトシロアリは、頭が細長い2頭身(全長の半分が頭)で、指を出すと逃げてしまいます。
イエシロアリは、頭が卵型の3頭身で、指を出すと噛みつき、乳液状の分泌物を出します。
また、巣(コロニー)の形状にも大きな違いがあります。
ヤマトシロアリは、家屋の被害部分が巣となっている場合が多く、大きさも比較的小さいのが特徴です。
対してイエシロアリの巣は、規模が大きい場合がほとんどです。土の中に「本巣」と呼ばれる巣を作り、そこから蟻道を伸ばし途中で枝分かれのようになった「分巣」を作ります。
分巣を作るための蟻道が家屋の被害部分となります。その大きさは、本巣・分巣を含めて、最大半径100mになるものもあります。
ポイントは女王アリ!大きなシロアリを見つけよう!
シロアリ駆除の際に最も重要なことは「巣ごと駆除する」ということです。
そのためのポイントが「女王アリ」の存在です。
シロアリの社会は完全な階級社会です。
その頂点に君臨しているのが、女王アリとそのパートナーである王アリです。
女王アリと王アリは、巣内に1匹ずつしかいません。役割は子孫を増やすための交尾と産卵です。
女王アリは寿命である10年から15年の間に100万個以上の卵を産むと言われています。
巣内の9割を占めるのが職蟻(働きアリ)です。エサの確保、卵の世話、巣の構築……あらゆる作業を職蟻がこなしています。
この職蟻が私たちの家屋に被害を与えます。
巣内の7〜8%しかいないのが、兵蟻(兵隊アリ)。普段は巣の周辺をウロウロしていますが、いざという時は命にかえても外敵から巣を守ります。
どれだけ職蟻や兵蟻を駆除したとしても、残念ながら根本的な解決にはなりません。
女王アリが卵を産み続けている限り、シロアリの数は増え続けるからです。
女王アリの特徴は、その大きさです。他のアリに比べて飛び抜けて大きいのです。
特に、産卵のためにお腹が大きくなった女王アリは、体長4〜5ほどになります。見た目もイモムシのようなグロテスクな姿をしています。
この女王アリを見つけ巣ごと駆除することで、ようやく被害の拡大を止めることができるのです。
そのためには、かなり本格的な駆除作業が必要になってきます。シロアリの生態や特徴に関する専門知識も必要でしょう。
最近では、シロアリ駆除をご自身でされる方も増えているようですが、やはり専門業者に依頼するのが確実です。
私たちが普段ひとまとめに呼んでいるシロアリにも、様々な違いがあります。
そのため、適切なシロアリ駆除するためにシロアリの生態・特徴を知っておくことが重要なのです。
シロアリ駆除の完了は、女王アリを含む巣ごとの駆除です。
もしシロアリ被害の心配があれば、シロアリの生態・特徴を知り尽くした専門業者に相談することをおすすめします。
まとめ
シロアリの判別はまず、その虫がシロアリかどうかを見極めましょう。
そしてシロアリの種類まで判断できるようにしておくと駆除・対策がスムーズになります。
種類を見分ける際はその生息地、群飛の時期、大きさ、色や特徴で見極めてください。
そして最も見間違いやすいシロアリと黒アリの、羽アリ ( 有翅虫 ) の違いもしっかり把握しておくとよいですね。
いざという時のために知識を付けて、シロアリ被害から家を守ってくださいね。